相坂優歌 翡翠蝶の棲む処

この手に触れたって

捕らえられない

わたしは誰のものでもなくて

ほんの今ひととき

見えざる檻で囲われている

飛んで行けない

都会は 樹々のない森

出口を探す 逢魔ヶ刻

群れ往く 人間(ひと)の心は

涸れた泉ね

星さえ映さない

空見上げ 立ち止まる

わたし孤独感じながら

だけど もっと一人に

なりたかった ほんとは

壊したいんじゃない

逃げてるんじゃない

とうに崩れた 魔法の国で

息づいている蛹

閉ざした想い

未だ輝く夢を信じて

眠れる 翡翠の翅

満月に 霧に揺らいで

瞳に落ちる

蜘蛛の巣模様の影

光恋う 魂も

時に闇を 求めている

微笑う仮面の下に

叫び声を沈めて

誰も構わないで

追ってこないで

けして汚れぬ 聖域の中

青い繭包まれ

少女のままで

ただ美しい日々をあやして

微睡め わたしの蝶

この手が触れたって

捕らえられない

自分は未知の

存在(もの)でありたい

すべてを知らずとも

すべて抱きしめ

恐れはせずに

飛んで行きたい

壊したいんじゃない

逃げてくんじゃない

とうに崩れた 魔法の国で

息づいてる蛹

満ちてく想い

いつか綺麗な夢を信じて

羽化する

蝶はわたし