12月10日配信メルマガオレンジとアップルと9王国ですすん

オレンジとアップルと9王国

ですがなぁあん!

2017年も、あとわずかであるがぁ

オレンジとアップルのお話は、

どんどん広がっておるぞよ

お話が、どこまでだったか、分からなくなったらぁん、

バックナンバーへ行くと、よろしいぞよ

定期購読すれば、

忘れずにすむぞよ

BOMB書店静かなる読書だ、ぞぉい

オレンジとアップルと9王国第四部

第六十章黒い塔の中で

黒い影の男ジャードは、

すいっと、黒い塔の中へ入っていく。

今にも、腹の底から笑い出したいような気分であった。

だが、ジャードは、慎重になって、辺りの気配を探る。

多くの影たちは、地下へ潜み、

それぞれの位置に付いているはずだった。

ジャードの指示通りに。

これから迎える、巨人たちに備えて。

私は、あの双眼鏡を失ってしまったが、

その代わりに、小さな影を手に入れた。

この影は、貴重だ。

そうとは知らなかったが、

こうして、私の手の中に入った瞬間に、理解した。

この影は、影作りの見本だ。

生産されていた影の見本が、

私の手の中にあるということは、

これからも、

影を生産できる可能性が生まれたということではないか?

そこまで、ジャードは考えると、

笑い出さずにはいられなかった。

だが、更に慎重になり、身を引き締めた。

しかも、これから、

私は、もう一人、重要人物を捕らえることができる

その言葉を噛み締めた瞬間、

ジャードは、もう我慢ができないというように、震え出す。

声は出さなかったが、

全身がおかしくてたまらないというように、

笑うように震え出した。

オレンジとアップルの片割れ、

アップルが、私の手の中に入るということは、

私は、相当、運がいいということだ。

アップルを手に入れれば、

いずれ、オレンジも手に入れることができる

ジャードは、肩を揺らし、満足げな表情を浮かべる。

まあ、あの出来損ないの小さな巨人が邪魔だが、

大したことではないだろう。

巨人は、皆、単細胞だからな。

私の敵ではない。

偉そうに名乗っていたがな。

ジャイロウ?

そうだ。そんな名前だ。

以前は、ガラスの城と塀と影の森の管理をしていたと言っていたな。

そうか。

もしかしたら、あいつから、

ちょっとした情報を得られるかもしれない。

いや、うまく使えば、

これから、押し寄せてくる巨人たちをうまく丸め込めるかもしれない。

そうだな。

影たちと戦わせるよりは、スマートに巨人たちを処理できる。

なるほど。そうか。

アップルも、出来損ないの巨人も使いようだ

その時である。

ぐわぐわっと、黒い塔が揺れた。

地下に潜んでいた影たちが、

ジャード様

と口に、不安そうな声で訴えながら、するすると現れる。

自分の指定された位置を動くな

とジャードが、押し殺したような声で、影たちを睨みつける。

しかしながら、ジャード様。

誰かが、塔を揺らしているのです

と影たちの一人が、

恐怖におののいたように黒い体を震わせた。

ふん

と、撥ね付けるように、

ジャードは、手で追い払うような仕草をした。

影たちは、ひれ伏しながら、自分の位置へ戻ろうとする。

すると、また、塔が、ぐらぐらと揺れた。

ひぃっ!

と影たちが声を上げる。

恐れるな

とジャードが、嗜めるように言い、

そして、続けて、

これから、起こることに動揺するな。

自分たちの位置へ戻れ。

これから、キャロル様がルーボンとともに、

巨人たちを連れてやってくる。

お前たちは、巨人たち、一人一人に取り憑き、

そして、操るのだ。

どの巨人に取り憑いても構わない。

だが、一人につき、影は一つだ

私たち影は、たくさんおりますが、

巨人たちの数と合うのでしょうか?

と影の一人が、おずおずと質問する。

大丈夫だ。心配するな。巨人たちは、大勢いる

キャロル様とルーボンは、どうしましょう?

と他の影の一人が聞く。

私の元に

とジャードは、厳かに答える。

私が、彼らに、未来を与える

未来?

と影たちは、どよめく。

そうだ。未来だ。

我の未来のために、君たちは、働くのだ。

君たちは、影という使命があり、

その影の使命を全うするために、

これから、やってくる影のない巨人たちに取り憑き、

巨人たちを我らの思い通りに導くのだ

ジャードは、

地下にいる全ての影たちに聞こえるように、

声を響かせた。

この声が、塔の外にいる

アップルとジャイロウという小さな巨人には

聞こえているはずがないと確信しながら。

塔の中の世界は、

塔の外の世界と壁一つの隔たりであるように見えるが、

実は、違う。

その壁はあるようで、ないのである。

彼らは、永久に、この塔の周りにいるだけで、

決して、この塔の中へは入れないのである。

ジャードは、ほくそ笑む。

我は、守られている。

この黒い塔は、影の国、そのものだ。

そして、いずれ、この塔が、全てを吸収し、

全てが影の国になる日も近い。

影の国に入れないものは、消滅するしかないのだ。

生きていける国、すなわち、生きていける場所がないのだから

と、ジャードは、心の中で、その言葉を噛み締めた。

影たちには全てを伝えず、

自分自身で全て実行すると、

ジャードは心に決めていた。

この世界が、

どういう支配とカラクリで

成り立っているのかを把握することが、

全てを動かすことができるということなのだと、

ジャードは信じていた。

誰にも、この世界の成り立ちを教える必要はなく、

誰にも権利を与えないことが、

一つの秩序が保てる秘訣であると信じているのである。

ジャードは、たった一人で、

影の国を治めることの覚悟と決心をしていた。

誰の手も借りず、影の国を作る。

永遠の影の国を。

そこには、誰の考えも手助けもいらないのだ。

ジャード様。

でも、誰かが、この塔を揺すっているのです。

破壊しようとしているのです

と、影の一人が、震えながら訴える。

慌てるな。

この塔には、誰も入ってはこれない。

この塔は、影である。

誰も、破壊することはできない。

安心しろ

とジャードは答える。

だが、黒い塔は、ぐらぐらと揺れ続けている。

ジャードは、もう一度、影たちに指示する。

まもなく、我らの世界が始まる。

それぞれの位置に付け。

そして、指示通りに動くのだ。

巨人に取り憑いたら、

まず、彼らの魂を奪い、

彼らの力の元である凶暴や無知を制御するのだ。

そして、

影の国を作り上げることに精進させ、

精進するのだ

影たちは、ジャードの言葉に頷くと、

するすると音もなく地下へ移動していった。

ジャードは、その姿を確認すると、

静かに、塔の外側を窺った。

塔の中へは、影以外、誰も入れないが、

私が、迎え入れようと思えば、迎え入れることはできるのだよ。

ネコのキャロルやルーボンのようにね

ジャードは、心の中で呟くと、

塔の外で、ドンドンと音を立てて揺すっている

小さな巨人ジャイロウと

アップルのために、

影の塔の扉を開けた。

Tobecontinued