グローバリゼーションと金融政策の限界

マンデルの考察が逆立ちしたような世界を観ています。

グローバリゼーションは経済の調整過程を変形し、マクロ経済政策の依拠する条件を変えたマンデルとは逆に、むしろ機能しない。しかし、もし金融政策が機能しないなら、財政政策はさらに機能しないことから、金融政策に衝撃を吸収する過度の役割が期待されたわけです。

財政当局が危機に対処し、グローバルな衝撃を緩和できる政策手段や国際介入のメカニズムを築くため、政治家たちが行動するか

ProjectSyndicateJUN262017

AnotherLessonfromJapan

STEPHENSROACH

アメリカのコアインフレ率が、上昇するはずだったが、低下した。エネルギと食品を除いた消費者物価は1年前とくらべて17高いだけであるである。アメリカ経済は完全雇用に近いはずだが、2というインフレ目標に戻ろうとしている連銀にとっては驚きだろう。

世界を半周ほどすると、日本でも同じ話が聞かれる。ただし、デフレに落ち込みがちな日本経済の状態はさらに深刻だ。

かつてない日伝統的な金融緩和政策を採用して、1994年から2013年まで、19年に及ぶデフレを退治するはずだった。インフレ率がほぼゼロであるのは敗北に近い。

この問題は世界的な規模で起きている。イギリスやマレーシアのような例外もあるが、先進経済のインフレは2に満たないとIMFも予測する。その最初の現象は、ずっと前に日本で始まっていた。資産バブルと過剰なレバレッジから、通貨のひっ迫、生産性の減退へ、今や4半世紀に達する成長の失われた時代は、すべての裕福な諸大国に対する黙示録なのである。

何より、日本銀行の一連の政策失敗がそうだ。金融政策を緩和して、ゼロ近辺の金利、さらにはマイナスにもしたし、量的緩和長期金利へも介入した。しかし、それは不健全な依存状態を創り出して、正常化を難しくしている。

多くの本が書かれ、シンポジウムが開催された。バーナンキ前連銀議長は、日本の失敗を繰り返すことは決してない、と約束した。しかし、他の中央銀行も、特にアメリカ連銀とECBは、同じ悲惨な結果をともなう金融緩和を再現してきた。

2017年のインフレ状況から、3つの重要な理解が得られる。

第1に、インフレと経済的ゆるみとの関係、いわゆるフィリップス曲線は破たんした。RichardBaldwinがグローバリゼーションの第2の供給体制の分解secondと呼んだ変化は、ますます分節化されたグローバルすプライチェーンの過剰供給能力を世界に広めた。アウトソーシングがグローバルな供給曲線の弾力性を劇的に増大し、労働市場や財市場におけるゆるみの概念を根本的に変えた。

第2に、現在のグローバリゼーションは、本来、非対称的な性格を持つ。日米ではバランスシート不況からの悪影響が残り、中国では不安から貯蓄が高まり、ヨーロッパでは生産性に制約されて消費が弱い、など、さまざまな理由で、需要側が深く損なわれたままである。供給側の拡大と合わせて、デフレ的な状況が続く。

第3に、中央銀行はその目標を達成する能力がない。いわゆる流動性の罠である。1930年代の大不況でケインズが初めて観察したのだが、政策金利はゼロ近辺にまで下落し、慢性的な総需要の不足を刺激できない。

しかし、これは不治の病ではない。ハイパーグローバリゼーションの世界では、アメリカファーストを唱えて保護主義を採用するのではなく、需要側に焦点を絞るべきだ。1930年代とともに、より最近の日本の経験が教えるのは、金融政策ではなく、もっぱら財政当局が問題解決に動くべきだ、という点である。